水中で歯が痛くなる
ダイビングをしている時、歯がシクシク痛むことがあるそうです。
原因が何かわからない!と悩む人も少なくありません。
人によってはかなり痛いという噂も聞きます。
原因は虫歯の可能性もありますが、ダイビング中の場合は水圧が関係している可能性も高いのです。
今回は、ダイビング中に起きる歯痛や、口周りの痛みについてご紹介させていただきます。
歯のスクイズ
ダイビング中の歯痛で一番可能性が高いと言われているのが「歯のスクイズ」です。
スクイズとは、体内の空隙などが水圧によって押しつぶされたり、引っ張られたりする現象のことを言います。
基本情報として、水深0mで1気圧の状態だとすると、10mで2気圧、20mで3気圧と潜る毎に増えていきます。
気圧が上がることで空気の体積が1/2、1/3と減っていくということになります。
「歯のスクイズ」とは「気圧性歯痛」と同じで、気圧の変化によって引き起こされる歯痛を意味します。
ちなみに、パイロットの場合は「航空性歯痛」と呼ばれていることが多いそうです。
歯のスクイズが起こった時の歯の状態
全ての歯が健康状態である場合、歯のスクイズが起きることはほぼありません。
歯の中に空洞がある場合、空洞内の空気は圧力によって膨張したり収縮したりします。
この変化が歯の神経を刺激して痛みを起こしてしまうのです。
歯の中に空洞があるってどんな状況?と思われる方も多いと思います。
一般的には過去に治療した「詰め物やかぶせ物をした歯」の内部で、詰め物が劣化したり腐食してしまった場合に生じます。
潜水することで増加する圧力が、詰め物内の小さな空間を圧迫してしまうことで起きてしまうのが「歯のスクイズ」なのです。
歯のスクイズの予防や治療方法は?
有名な指導団体のHPでは、歯のスクイズは「ほとんどの場合、不快感によりそれ以上の潜行が無理になります。」と記載されるくらいの痛みと言われています。
できればそんな痛みは体験したくありませんよね。
では、どうすれば予防できるのか?
答えは「しっかり治す」のみです。
一般的に行われる歯科医の治療で改善されます。
ただ、一般的な歯科医ではスクイズの予防と言っても伝わらない場合もありますし、簡単には説明し辛いですよね。
そういう場合は、「ダイビングをするので気圧の変化による歯の痛みが出ないようにしたい」「パイロットやCAさんが飛行機に乗る前にしないといけない治療」などと説明するとわかってもらいやすいです。
ダイビング時に起きる口周りの痛み
口周りのトラブルで一番多いのは「あごの疲れ」。
ダイビングの際口に咥える「レギュレーター」という器材。
初心者は特に咥える時に力が入ってしまうことがあるようです。
よく考えてみると、日常では物を咥えたまま長時間行動することなんてありません。
疲れるのは当然ですよね。
なので、初心者ではなくてもダイバーの方は「一過性の顎関節症」になってしまう人もいらっしゃいます。
一過性の顎関節症って?
顎関節症とは、ごの関節が変形していたり、かみ合わせが悪い、ストレスなどが原因で起こります。
症状は、口を開けると顎が鳴る、痛みが出るなどがあります。
普段はなんともないのに、ダイビング後にそのような症状が出てしまう理由は、口を開けたり閉めたりするのに使う筋肉「咀嚼筋」が水中にいる事で冷えてしまうこと、柔らかいマウスピースで顎が不安定な位置におかれる事が原因と考えられます。
殆どの人は、マッサージや筋肉を温めると自然に治るのでご安心ください。
2、3日経過しても症状が治らない場合は、専門医を受診することをお勧めします。
今回はダイビングをすることで起きる「歯痛」「口周りの痛み」についてご紹介させていただきました。
特に海外へダイビング旅行へ行く前には、歯科でしっかりチェックしてもらってから行くのが安心です。
楽しいダイビングを痛みで邪魔されないように、事前にできる準備はしておくと良いでしょう。